第八話

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「――俺が簡単に死ぬと思ったか?」

カイトは不敵に笑う。

そして。

轟!! とカイトの周りに風が吹き込む。

「!!」

思わず女は立ち止まる。

そして。

「――“アキューア”。実体化、及び武装解除を許可する――!!」

ひどく、冷たい声だった。

その声には、誰も答えなかった。

しかし。

ドオオオオッ!!!! と津波と言わんばかりの水が押し寄せる。

「ちいっ!!」

女は腰に巻いていたベルトから何かを引き抜く。

それは、サバイバルナイフ。

「はぁ!!」

「聞くと思ってるのか?」

「後ろ?!」

気づくと、カイトは後ろに回っていた。

そして、彼は右手に持つ水で出来た剣で、峰打ちをした。

「……VYシリーズも、弱いものだな」



***


そのころ。

レイジン・ストライカー探偵事務所、と書かれた看板を見ているレンとルカ。

「……さて」

そう、なにかを思い込んで、ルカはドアをノックする。

しばらくして、どあは開いた。

金髪の無精髭を生やしたスーツを着た青年――サングラスでもかけて軍の迷彩服を着ていたほうが2000倍似合いそうだ――が出迎えた。

「レイジン……ストライカーかしら?」

ルカが尋ねる。

「ストライカーさんの知り合いか?」

「ええ」

「ちょっと待ってろ。中入んな」

そう言って男は入室を促した。



***


中に入って応接室に通されたルカとレン、そしてなぜか実体化しているフロウスは、先程の金髪の男から出されたミルクティーを飲んでいた。

「この、ミルクティー。美味しいわね。いったいどこの茶葉かしら? にしてもストライカーは儲けてること」

「……知り合いなんですか?」

「まあね。がくぽ博士をスクヴァトスに亡国させた時に手伝ってもらったし。腐れ縁ってやつよ」

「それはこっちのセリフだ。ルカ」

その声を聞いて振り返ると、

黒いスーツを着たサングラスの男が立っていた。

「久しぶり。随分古臭くなったみたいね? レイジン・ストライカー?」

ルカは、笑って言った。





つづく。