第10話
<< 第9話 | | 第11話 >>
世界の理とは何なんだろうか。
レンはそれについて詳しいことを聞いたことがない。リンもそれを知りたくて、図書館の古い書物をあたったりしていたが、それでも解らなかった。
「……それは人間視点から見たカミサマ……ムーンリット・アートについて書かれたものだとされている」
「されている、ってどういうこと?」
「ムーンリット・アートは始まりの人間であって、世界をリセットする権限を持っている」
リセットする権限。
世界をリセットするとはどういうことだろうか。果たして名前のままとは思えない。
「今の世界がどれくらいリセットされているのか、果たしてリセットされているかも解らない。黒い箱状の何かを用いてリセットを行っているとかいないとか」
いないのかよ!
思わずレンは突っ込んでいた。
だが……それでも気になってしまうものだ。
ミクは本物なのか?
「……偽物、としか考えられない」
ルカがまるでレンの考えている言葉を解っているように答えた。
「偽物だとしたら、誰が入っているの?」
「それが解ったら苦労しない」
「ですよねー」
「ひとまず考えなくちゃいけない」
「あー。ちょっといいか?」
レイジンが二人の会話に入る。
「俺の考えだが……やっぱり本物なんじゃねえか?」
「ミク姉さんが……カミサマ、だと?」
「あぁ、そうじゃなきゃ会話のあれが成り立たねえ」
レイジンは頭を掻きながら、呟く。
「ムーンリット・アートとやらは月の女神……だって言われているがそれは何故か、解るか?」
レイジンの言葉に誰も頷くことはなかった。
「……かぐや姫」
「は?」
「かぐや姫だよ。あれの最後は月へ帰るだろ。あれはなんでかって言うと、月で悪さをしたから地球に来たって訳だよ」
「へえ……それで?」
「つまり……『月の女神』を冠するムーンリットは、かぐや姫であるということだ」
◇◇◇
そのころ。
「初音――なんでここに?」
「そのセリフ、そっくりそのままあなたに返すわ」
神威と初音は、城の廊下で対面していた。
「なんだかとてつもなく長い時間だった気がするわ」
「一年くらいかな?」
「――そんなことはどうでもいいわ。出しなさい」
「……なにを?」
神威はにやにやと笑って、答えた。
「白を切るつもりかしら。……まあいいわ。教えてアゲル」
初音は歯を見せるほどの笑顔を見せて、言った。
「――世界の卵。リアリストのあなたなら知ってるはずでしょう、現実のこと全てを知っているのだから。……それを寄越しなさい」
つづく。