第六話

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「……是[イエス]。我こそ、ブレイズのマスターだ」

“了解した”

そう言うと、ブレイズは赤い小さな光の玉になり、魔方陣の真ん中にある剣に付着して、見えなくなった。

「……これで契約は完了ね」

ルカが杖をコツンと大地をつつく。

「それじゃあ行きましょうか。機械都市タートルへ」

レンは剣をもち、言った。


***


その頃、砂漠の小さな町。

少し前まで、水が涸れていて、ひどい有様であったが今は水源が復活し、普通のオアシスとして機能している。

そして、その街のなかにある小さな喫茶店。そのなかにひとりの男がいた。

その男はこの時期だというのに、青いマフラーを首にかけていた。だのに、汗をかいていてアイスクリームを食べている始末だ。

男は何かを見ていた。

――それは地図。

「さあて。アキューア。この先で一番近い街はどこだろうね?」

“……タートルじゃないですか。あそこならきっといろいろありますし。情報収集にも成りますよ”

男の隣にいた水色のワンピースを着た女の子が言った。

「タートルか。そこならたしかに近いな。……なるほどそこに行ってみよう」

「出るのかい?」

立ち上がった男に、その喫茶店のマスターらしき人間は言う。

「えぇ。世話になりました」

「そんな……。あんたこそこの街を救ってくれた。感謝し尽くせない」

「いえ」

男は笑う。

「そうだ……。名前を聞かせてはくれないか? せめて」

「……私は」

「わたしはカイトと申します。まあ、また機会があれば」

そう言って、カイトと名乗った男はそこから去っていった。


***


そのころ。

「VY1。様子はどうだ?」

「――どうやら、ルカとレン、さらにカイトまでもがタートルに来るようです」

「――そうか」

男は一度考えた。

「カイトはこの前にやられたことがある。できればここで潰しておきたいものだ」

「……タートルで決戦、となりますね」

「ああ。そうだな。『VY2』も用意しておけ」

「……了解――マスター」

そう言ってふたりは闇に溶けた。



つづく。