第12話
「まさか……、こんなところにいるだなんて……!!」
はじめに驚いたのは、ダイアナだった。
「……、」
続いて、何も言うことのできないダグラス。
最後にピッピは……特に驚く様子も見せず、
「わーい! カナリアさんだー!」
カナリアがいることにただ驚いていた。
「まぁ、いっか……。子供だし。
ところで、ダグラス。カナリアの雛は?」
「ああ。そうだったね」
ダグラスは思い出したかのように、雛をそのカナリアの前に差し出した。
すると、カナリアはそれを見て、翔いた。そして、
美しい、歌声を奏でた。
とても、綺麗で美しいそれは3人の心を、癒した。
「……いい歌声だ……」
ダグラスはそれを忘れまいと、胸に刻んだ。そういえば、これってなんだか聞き覚えのあるような?
そんなことを思っていたダグラスだったが――ふと何かを思い出し――カナリア村を後にした。
***
「もしかして、君がピッピちゃんかね?」
マザーズデイに着いて、ひとまずダグラスたちは町役場へと向かった。
そこで話されたことである。
「よかったな。ん?
お母さんには町長さんに助けてもらったと言うんだよ」
「誰が言うかアホ」
「……ん~? 聞こえなかったな~」
「ちょっと痙攣起こしてますよ?
大丈夫ですか~?」
「あれ~? ピッピちゃん……5歳だったよね……?」
「どうしたんですか~?」
ピッピは問いにあどけなさを残して呟いた。この女の子、侮れない。
「……まぁ、いいや。
ところで、ダグラスくん。もう一つ頼まれてくれないかね?」
「なんですか?」ダグラスは褒賞の100ドルを貰って、もう帰ろうとしていた。「疲れたんで今日はホテルに泊まろうと思っていたんですけど」
「まあまあ、またあのホテルを使って良いから。
……頼むよ。君にとっても悪い話ではないと思うよ?」
「……なんですか?」
ダグラスはとりあえず話を聞くことにした。
「実は、」
町長は咳払いを一つして、そして、言った。
「シュークリーム動物園で暴走する動物を止めてもらいたい」
カナリア村編 終わり。