第4話
役場に入って出迎えてくれたのは小奇麗な女性だった。
「ようこそ。マザーズデイ町役場へ。
何かご用でしょうか?」
「あの、町長さんにお会いしたいんですけど。
……女の子がいなくなった、話で」
「……少々お待ち下さい」
女性はその言葉を聞いてすぐに顔色を変えて、奥へと消えていった。
しばらくして、女性は戻ってきた。
「お待たせしてすいません。
町長の許可が取れましたので、どうぞ」
なので、ダグラスは遠慮なく入ることにした。
***
町長の部屋は意外にも質素なつくりだった。
「恥ずかしいことだがな、我が街も予算が足りなくてな。
仕方なく、こういうことになっている。
まあ、腰掛けたまえ」
町長に促されるままに、ダグラスはソファに腰掛けた。
「……ところで、女の子がいなくなった、と言ったな」
「えぇ」
「実は前から我々も搜索している。
……それで、とある場所にいるであろうことも判明した」
「いるであろう?」
「確定事項じゃない、ということだ」
「どうしてですか?
解っているなら行けばいいじゃないですか」
「それが……ゾンビが大量発生している墓場、でもかね?」
その言葉を聞いてダグラスは凍りついた。
「君を驚かすつもりはない。
だが、これは事実なのだ。
現に調査隊として何人もの人間が帰ってこない」
ダグラスはそれを聞いて冷や汗が止まらなかった。
「……そういうときに、申し訳ないのだが……」
町長は話を続けた。
「もしできれば……、墓場への調査に君も参加して欲しいのだが……?」
町長は真剣な面持ちで、言った。
***
「……別に構いませんよ」
ダグラスの回答は町長の予想を裏切るものだった。
「いいのですか?
ほんとうに?」
「ええ。僕が断る理由なんて、ありませんから」
ダグラスはそう言って席を立った。
「……いろいろあるので、明日からでもいいですか?
とりあえずここまでの道のりで疲れてしまって」
「そうですか。
ならば、役場の職員の寮が一部屋空いてますのでそこをお使いください。
まぁ、ここと変わらない質素な作りですが」
町長は苦笑して、言った。