第3話

 肉じゃがを食べて、一日が過ぎた。
 ひとまず、ダグラスは外へ出ることにした。
 なぜ、彼の家でラップ現象が起きたのか。
 あまかけるふねとはなんなのか。
 それが、知りたいが故に。
 家をでて、地図を広げた。
 世界は、思ったより広かった。
「……まずは、マザーズデイに出るか……」
 ダグラスは地図をしまって、一歩外へ足を踏み入れた。
 ダグラスの家はマザーズデイの外れにあるため、ひとまずはマザーズデイの中心へ向かう必要があった。
 暫く歩くと家が見えてきた。このへんに住むとけっこうのびのびと暮らせるらしいのはダグラスも知っていた。
 女性が、外に出ていた。どことなく慌てたような表情だった。
「どうしました?」
 ダグラスは尋ねた。
「あぁ。

 実は娘のピッピがどこかへ居なくなってしまったんです!

 でも私は今いろいろと忙しくて……」
「もし、僕で良ければなにかお手伝いしましょうか?」
「あぁ。

 ありがとうございます……。

 では、マザーズデイの町長さんにこのことを伝えていただけないでしょうか?

 町長なら何か教えていただけるかもしれないので、」

「解りました。

 早く見つかるといいですね……」
 そういったあと、女性は頷いた。
 ダグラスは一礼して、さらに進んだ。

 

 

***

 


 マザーズデイはこのへんでは一番広い街である。
 デパートもあれば、マンションもある。
「えーと……町長の家……よりは役場に行った方がいいのかな?」
 ダグラスはそんなことを言いながら、街のメインストリートを歩いていた。
 しかし、どことなく不思議に思ったことがある。
「人が少ないような……」
 だが、それをいつまでも気にするようなことはなかった。
 すぐに、見えてきたのは『マザーズデイ町役場』と書かれた看板だった。