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 どうやらその男装メイド服ではすまなかった。私が新入生オリエンテーションを終えた感想はそれに尽きた。

 まずは運動部。陸上部、サッカー部、野球部……ふぅん。ここは普通だなあとか流し見(私はあくまでも文化部にしか入る気はないのだ)していた。

 そして、文化部。吹奏楽部に、絵画部。へえ、こんな部活まであるんだーとか思っていたのだけど。

「……はれっ?」

 思わず「は行+ら行」の驚きを発してしまった。そのこととは――。

 

「はい、どーもー」

 仮面を被った男たちだった。仮面舞踏会よろしく、その3人はそれぞれ違う仮面を被っていた。左端は馬、真ん中はサングラス、右端はなんだかよく解らないアニメ(たぶん魔法少女系かな?)の仮面だった。何部だろう? もしかしてコスプレ部? とか思っていたのだが、

「僕たちは漫画研究同好会です」

 って漫研かよっ! と思わず脳内ツッコミを果たしてしまうともう発表は終わっていた。

「……あれ? もう終わっちゃったの?」

 私は小さく隣の人に尋ねると、

「ああ。なんだかしどろもどろで終わっちゃったよ」

 その人間はどっからどう見てもヤンキーだった。金髪に、よく見るとピアスをしているけど、でもなんだか優しそうにみえた。

「そう……」

 

 そんな感じで新入生オリエンテーションは終わってしまった。結局何も得られなかった気がするのは気のせいだろうな。

 

 

 

 終わって、「今日はもう帰っていいよー」と先生が適当に言ってくれたおかげで私は早く帰ることが出来た。けれど早く帰るなんてことはせず、部活動を見学するために来ているんだけど。

 部活動。私はひとつだけ観たい部活があった。そう。

「文芸同好会ならやってるのは金曜日だけだよ。

 今週は金曜以外漫研しかいないけど」

「……そうですか」

 なんてことだ。そんなこと知らなかった。しかもさっき先生。「全部の部活が研修期間で今やってるから見ていってもいいよねー」とか言ってたじゃん。あれ嘘だったの?

 とりあえず……金曜日ということは知ったからそれまでは仕方ない。帰ろう。

 そうして、私は帰路につくのだった。

 

 

 

 

1話

終わり

 

連載期間 2012/02/09~04/18