1-03

「はい、というわけで皆さん入学おめでとう。本日をもって君らはこの戸塚高専の学生となるわけだ。僕の名前はこの1年2組の担当である足利知裕というのでよろしく頼む」

 朝のホームルームは担任の挨拶から始まった。スーツを着て、メガネをかけて、ちょっと声が高くて、そしてどこか憎めない感じの人だった。第一印象からして、この人は国語の担当かなぁ、とか思っていたら。

「僕は国語を担当します。あとこのクラスは古典を担当すると思いますので」

 予想どおりだった。あと言うなら古典のイントネーションがおかしくないですか。『こ』で上がっちゃうんですか。『こ』で普通下がりませんか。とかそんなことを考えていたら、

「と、いうことで、これから新入生オリエンテーションがあります。出席番号……いや、背の順でいっかー? 背の順で並んでー」

 うわ、すっげえ適当だ。真面目な担任かと思ってちょっとホッとしたのに騙された。騙されたよ私。

「はいはい静かにしろ男子ー。女性陣はてきとーでいいよー」

 ちょっと待ててきとーっておい。男子と女子の差が見え見えだぞおい。

 まあ、そんなことは無視して、とりあえず新入生オリエンテーションが行われる大教室へと向かった。

 

 

***

 

 

 会場である大教室は普通の教室の3倍程の大きさで、1年生全員が収容出来るらしい。言い方は悪いが監禁に近い。

「はい静かにしろー」

 ドタドタと音を立てながら1年生が入っていく姿を見て私は同じ学年ながら程度が低い連中ばっかだなぁ、とか思っていた。(二組だから残りの三~五組は見ていられる。まあ、見るつもりはないが)

 だが、そっちの方へと向かねばならない、理由があった。

 入口のところには司会と思しき先輩が立っていた。男であるのは確実だが、その格好がおかしいのだ。

「……なんで、メイド服?」

 そう、その先輩は男でありながら、メイド服を着ていたのだった。

 

つづく。