街を歩くノゾミとコウキの二人。
「ここはラクラシティ。カイント地方の西の都、と呼ばれてんだ。でも君も知ってるとおり、この町から一歩出ると自然たっぷりなんだ。僕はいつも森でポケモンの情報とかを収集しているんだけどね」
コウキの言葉をノゾミはメモにとる。
「んで、この地方は他地方と同じようにジムがあるんだ。そのジムを全て制覇した者は……」
「ポケモンリーグに、行けるのよね?」
「なんだい? 知っているのかい?」
「まぁ……。それだけなら」
ノゾミは愛想笑いをして、言った。
「お前が白野望美か」
突然、いきなり、後ろから声がかかった。
「……だれ?」
ノゾミは後ろを振り返る。
そこにいたのは、上から下まで全て黒。そんな少年がいた。
唯一違うと言えば、その真っ黒とは真逆の真っ白な髪、だろう。
「……俺の名はシロト。俺は」
「お前が“なぜこの世界に来たのか”知っている」
「……え?」
ノゾミはシロトの台詞を聞いて、何も反応が出来なかった。
「……俺が現時点で言えるのは、そこまでだ。精々、この地方で足掻くといいさ」
それだけを言って、シロトは消えた。
「……あいつは何が言いたかったんだ?」
コウキがそれを言ったと同時に、ポケギアに着信が入る。
ポケギア……正式な名前はポケモンギア。地図、電話、ラジオ機能がついた高性能な機械だ。
「はい、もしもし」
コウキは電話にでる。
電話は、カツラギ博士の助手、クリノだった。
「コウキくん!? 今どこかしら?」
「……まだラクラですよ。どうしたんですか。語気を荒げて」
「博士の研究していたポケモンが盗まれたのよ! 犯人の特徴はわかってモンタージュを描いてもらったから今から送るわね!」
同時にジーッ、という音がポケギアから聞こえる。
紙が、ポケギアから出てきているのだ。
「これか」
コウキは紙を手にする。
「な……!」
コウキの表情が、凍りついた。
「どうしたの?」
ノゾミが、それを見る。
ノゾミも、驚いた。
そのモンタージュに描かれていたのは、さっき会った黒ずくめのトレーナー、シロトだった。
つづく。
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