第03話

 街を歩くノゾミとコウキの二人。

 

「ここはラクラシティ。カイント地方の西の都、と呼ばれてんだ。でも君も知ってるとおり、この町から一歩出ると自然たっぷりなんだ。僕はいつも森でポケモンの情報とかを収集しているんだけどね」

 

 コウキの言葉をノゾミはメモにとる。

 

「んで、この地方は他地方と同じようにジムがあるんだ。そのジムを全て制覇した者は……」
「ポケモンリーグに、行けるのよね?」
「なんだい? 知っているのかい?」
「まぁ……。それだけなら」

 

 ノゾミは愛想笑いをして、言った。

「お前が白野望美か」

 

 突然、いきなり、後ろから声がかかった。

 

「……だれ?」

 

 ノゾミは後ろを振り返る。
 そこにいたのは、上から下まで全て黒。そんな少年がいた。
 唯一違うと言えば、その真っ黒とは真逆の真っ白な髪、だろう。

 

「……俺の名はシロト。俺は」
「お前が“なぜこの世界に来たのか”知っている」
「……え?」

 

 ノゾミはシロトの台詞を聞いて、何も反応が出来なかった。

 

「……俺が現時点で言えるのは、そこまでだ。精々、この地方で足掻くといいさ」

 

 それだけを言って、シロトは消えた。

 

「……あいつは何が言いたかったんだ?」

 

 コウキがそれを言ったと同時に、ポケギアに着信が入る。
 ポケギア……正式な名前はポケモンギア。地図、電話、ラジオ機能がついた高性能な機械だ。

 

「はい、もしもし」

 

 コウキは電話にでる。
 電話は、カツラギ博士の助手、クリノだった。

 

「コウキくん!? 今どこかしら?」
「……まだラクラですよ。どうしたんですか。語気を荒げて」
「博士の研究していたポケモンが盗まれたのよ! 犯人の特徴はわかってモンタージュを描いてもらったから今から送るわね!」

 

 同時にジーッ、という音がポケギアから聞こえる。

 紙が、ポケギアから出てきているのだ。

 

「これか」

 

 コウキは紙を手にする。

 

「な……!」

 

 コウキの表情が、凍りついた。

 

「どうしたの?」

 

 ノゾミが、それを見る。
 ノゾミも、驚いた。
 そのモンタージュに描かれていたのは、さっき会った黒ずくめのトレーナー、シロトだった。

 

 

 

つづく。