076.Monster

A
悴んだ手を息で暖めていたある日のこと、
ふと外を見るとそこにいたのは小さな女の子。
僕は「この寒い中、よくここまできたね」と、
少女を招いてとりあえず悴んだ手を暖めるのをやめる。

B
「生きていくのは、辛いよ」って君が泣きながら微笑む
まるでこれから起きる何かを知ってるようで、
「君は何かを知ってるのかい?」と問いかけたら、
少女は悪魔のように含んで笑った。

C
少しづつ何かが変わり始めたような、そんな気がして僕は
一人呟いた。

D
「君はいったい何がしたいんだ。
僕をそんなに苦しませたいのかい?」
捨てられた僕を慰める訳でもなく
貶す貶めるためにやってきた君はMonster.

2.A
「私はあなたの為にやってきたの」少女は笑顔の仮面をつけたまま話す。
僕は何れも此れも信じられないから聞き流していた。
僕が昔何にあったのか知ってるから笑いに来たんだろ。
僕は少女にただ無意識に溜まった想いを吐き出していた。

B
「捨てられたんじゃなくてあなたは捨てたんじゃないの」と真顔のままで、
天使のようで悪魔のような笑顔で君は呟いた。
「君が僕の何を知ってるんだい?」と問いかけたら、
少女は俯き悲しげに微笑した。

C
少しづつ全てに気付いてしまった? そんな気がして僕は
一人呟いた。

D
「もういい。解ったよ。
捨てたのは彼らじゃなくて、僕だったことに」
世界を捨てた僕を慰める訳でもなく
ただ中立の立場で見つめる君はMonster.

E
「まだ解ってないのね。それじゃ完成なんて言えない」
「ホントに罪を償う気があるなら平伏せよ」

信じられない絶望。孤独の中に感じる欲望。
巡りめく世界にある発見。閃いて見つける真理。
その何れもが僕に疑問を投げ掛ける。
「平伏せよ。平伏せよ。平伏せよ……」
「……ヒレフセヨ。」

D'
「それくらい、解ったよ。
捨てたのは彼らじゃなくて、僕だったことに」
殻を自分で作ってただけ、遠ざけてた自分を殺しがって
「もういい。君は僕で、僕は君だったんだね。
なんでこんな形に会ってしまったのかな?」
 

 

D
「もし一つだけ願いが叶うなら、
彼女と僕をまた巡り合わせて!」
君は最高の《ボク》だったよ。解らなかった。Ah.
 

 

D
「もういい。解ったよ。
捨てたのは彼らじゃなくて、僕だったことに」
世界を捨てた僕を慰める訳でもなく
ただ中立の立場で見つめる君はMonster.